おすすめはゴットファーザー
とかいに、というよりは、おとならしきものになってしてみたかったことに
「いきつけのバ―をもつ」ということがある。
以前もそれなりにとかいにいた。同じように行きつけのバーを持とうとしたけど、
その時は、マスターと相性がわるく、というか、まともに扱ってもらえず。
雰囲気もおさけもおいしか
っただけに残念な思いをした。
今は、神社の脇のカウンターのある店で月に1、2度飲んでいる。
メニュー表もなく、看板もなく。素敵なお二人のマスターと
珍しいドライフルーツのおつまみがある。
なにが感動したかって、二度目に訪れたときは、はじめに言った時から
一か月以上たっていたにも関わらず、「お久しぶりです」と言われた事。
きちんとお客さんとしてみて、私の話も毎度覚えていてくれて、
かつお酒の飲む順番も覚えてくれている。
それでも、毎回フルーツのおすすめ文句が同じだ。
前もきいたから、知っているのだが、毎回一から説明してくれる。
私は毎度、初めてきいたようなふりをする。
そのときだけ、ちょっと疎外感を覚える。適度な距離感がいいとおもいつつ、
だれかの特別だと認識したいお年頃。
私のおさけの好みはいつも、一緒にのむ人に影響される。
だから、私のおさけの好みの変遷はそのまま人間関係の変遷だ。
(ビールは社会人になってやっと飲めるのようになった)
やすくて酔いのはやい焼酎とジンは大学時代3年間付き合っていた人から覚えた。
背伸びしておいしさも分らないのにつまみでごまかして飲んだ。
あまくて飲みやすいラムは、大阪にいたころ、精神的にも体力的にも
ぼろぼろだった私とよく似た境遇の人から覚えた。
注ぎ方、器ひとつで同じ液体の味にこうも差が出るのか、とそのおいしさに
驚きつつ、初めて「舌の上で転がして」飲んだ。
このとかいでは、たくさんの人に出会いながら、だれに影響されることもなく
新しいこのみのおさけを探している。
今のところのお気に入りは、ウィスキーベースのカクテルのゴットファーザー。
残念ながら、このカクテルをとても好んで飲んでいた人と、私はとても、
仲が良かった。