ツメが伸びるのはやいねん。

都会に住むトカイ子と、田舎に住むイナカ子が、都会砂漠と田舎沼をサバイバルする日記。

苦爪楽髪(酒とたばこと退廃的な夜)

 

人に会ってきた。

初めて会う人で、待ち合わせ場にえらく細身のホストっぽい人がきた。

というか、話聞いたらホストっぽいことをしている人だった。

あーまずいなーと思った。

 

上手に話を聞いてくれる人で、テンポ重視の言葉のキャッチボールができる。

飾らないやり取りができる。

これはまずいな。

 

まずいなー。

煙草を吸うしぐさが良く似合った。

年上だということもあったが、幸福とか不幸とかに

余り心を動かさないような雰囲気を持っていた。

目の前の現象としてとらえて、感情と切り離して考えることができる人だ。

 

人の気持ちに引きずられない。

一枚膜を隔てたように、内側と外側に明確な線引きをしている。

決めることを迷わない人だ。拾うも捨てるも必要であれば、迷いながらでも

実行できる人だ。

まずいな。まずいやつだな。

あーーーーやめといたほうがいいな。

 

強めの酒をさらりと飲んだ。

呑めればいいという感じで飲み干していた。

煙草がくゆる。煙が流れないように、うつむき加減に煙草を吐く。

ああ、おもったより、子供っぽいしぐさをしたな。

だめだなあ・・・・・

 

私の焦りを酒でごまかす。諸刃の剣だと思っていたが、早くこの場から

逃れねば。

ビールを2杯。日本酒を2合。ハイボールを1杯。

ウィスキーをロックで。果実酒とウィスキーを混ぜて一気に飲み干す。

 

ああ、体が近い。

まずい。

電車に乗り込む。満員電車でふらつくと、引き寄せられた。

だめだ、この路線では家に帰れない。

帰らなきゃ。

梅酒のロック、溶けかけのチョコレート

見知らぬ壁と天井と覚えのない体温。

まずい・・・・・なあ・・・・・

もぎ取らる意思。とんだ記憶。

 

後悔が押し寄せているのに、こんな時でさえ、

私は最低限の確認をする。

記憶がないから、あれは私ではないからなと切り捨ててしまって。

経験した記憶のないことをいわれてもわからないから。

さいころ、あなたはあそこにいったのよーといわれても、

でも覚えてないからなあ。。。となるのと同じ。

炭酸の抜けた安いビール。のみ残しの水。

 

自分の価値がまた下がってしまった気がするのに

そうやって消費されたことが悲しいはずなのに、

気づいていないふりをする。

この人と二度目にあうことはないのだろうな。

そう思うと悲しい。普通にしていればよい飲み友達になれただろう。

趣味の話もできただろう。

遊びにも行けただろう。

お店の手伝いなんかもできたかもしれない。

おみやげのラスク。冷えた麦茶のペットボトル。

 

退廃的な雰囲気の持ち主の前でしか安心できない。

不完全な自分を肯定してくれる存在に甘えている。

成長をやめるな。足を止めるな。

 

自分の不健全さを相手と同調することでごまかした夜。

 

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ごちゃついたげんじつ