長めの袖は役に立つ~熊本ドライブ編~
気づけば年末。相変わらず区切りの分からない日々を送っているような
気がします。
代わり映えのない、毎日を大切にできるそんな毎日を
送っていけたらと思います。
さて、熊本、実家、北海道と三回の大きな被災をした6つ下の
我が妹を迎えに母と熊本に行ってきました。
相変わらず、折り合いのつかない弟はますます母をぞんざいに扱い、
父親も傍観するだけで、終わりない家事や日常を淡々と運営し、自身の幸せを
私たちに託しつつある母になんとも言えない思いをいただくことも
多くなってきました。
あんたがかえってくると思ったから、と無駄な買い物をしない母が
冷蔵庫いっぱいに食材を買い込んで、せっせと台所に立ち
洗濯機を回し、経理に心を砕いている姿を見るたび
立ちすくむ自分自身の気持ちを情けなく眺める27の冬。
覚悟を決めるタイミングはいくらでもあったのになあと思います。
温泉にいこうよ、と誘いだして30日の夜から熊本市内へ3時間程度の
ドライブ。
火山帯に位置する市は道中にいくつもの温泉がある。天ケ瀬温泉、黒川温泉、
菊地温泉。
今回は杖立温泉へ。
鬼怒川温泉と似たような、渓谷に張り付いた山間にある温泉だ。
歴史は1800年程度、歴代天皇の産湯に使われたという伝説も残る
古い温泉街だが、例外に漏れず近年は衰退の一途をたどっている。
また、熊本自身、九州北部大豪雨の影響もあるようで、一部の温泉は
使えなくなっているようだ。独特の景観を持ち合わせた地域でもあるので、
どうにか残ってほしいなと思っている。
大衆浴場である観音岩温泉、家族風呂で一時間1000~1500円程度。
3人で行けば500円、5人で行けば200円程度。
小さなお子さんずれでも気兼ねなく楽しめるし、
結構カップルでも来ていた。
タオル、シャンプー類は持ち込み。駐車場は完備。
通常なら26部屋もあるのだが、今は9部屋のみ。外からの外観もとてもきれいで、断崖絶壁に沿うように長屋づくりがある雰囲気は変わらない新しさを提供してくれる。
奥までだんだん続き、それぞれのお部屋がある感じ。
20分前にブザーがなる。
なんとも、現金主義な神様もいたりして。
それから、国立記念公園阿蘇をぐるりとしながら。
まあ、夜間暗すぎて何にも見えんかったけどね
車よい必須な山道をくだり、熊本市内へ。
妹の家には、お客さん用の布団が無いため、こたつ布団を解体して
横になる母と私。
さすがに、50も過ぎている母を床に寝せるわけにはいかないので、
妹がバイトから帰ってきたら説得することにして。
夜間ばたばたと妹帰宅。
腰がいたくなる、うちらは慣れている、さすがにかぜひくと
二人ががりでベットに母を追いやる。
意外ととかい子があったかかったのに、とベットに行く母の
つぶやきにそういえば最近似たようなこと言われたので、
本当にそうだったんだなと床にうずくまる。
よく朝、もそもそとパンを食べ、昨日の悪天候がうそのように
綺麗な空を眺めながら再び3時間のドライブ。
スーパー宮原という格安新鮮スーパーを目印に運転をする。
本当にお安いし、新鮮なのでぜひどうぞ。
阿蘇は、世界一のカルデラを有する。その周辺を九重火山群がぐるりと囲む。
360度山が連なるその風景の美しさは、なにものにも代えられない
ものがある。
3年前の4月、新生活をスタートさせ、念願の動物に関われる4年間への期待に満ち溢れていたころ。
熊本震災にあい、倒壊した建物で一晩をあかした。
しんしんと冷える、電気も何もないその夜身を寄せ合って、
綺麗な星空を眺めたという。
母と父が二人で迎えにいった、その日。妹は帰ろうとはしなかった。
残していく先輩方、地元の人たちから逃げるようで
申し訳なくて、動けなかったそう。
結局先輩に言われて車に乗り込み、ふさぎこむ妹に会いに
地元に戻ったのを覚えている。募金活動や、学生運動をするようになり
臨んだ形のベストな大学生活ではなかっただろうが、今年、
妹は卒業し念願だった動物関係の仕事につく。
震災の傷跡を残しながら、それでも美しく、
毅然とただある姿と青空を眺めて今年を終える。