ツメが伸びるのはやいねん。

都会に住むトカイ子と、田舎に住むイナカ子が、都会砂漠と田舎沼をサバイバルする日記。

犬も歩けば棒にあたる 方向音痴は歩いて直す

いつの間にか年末が近くなっていますね。

例年よりも忙しい時期が早く来ているような気がします。

どうも、とかい子です。

 

私は自他ともに認める方向音痴で、

よくトイレにいっても戻ってこれなくなる。

行きと帰りで風景が違うので、一致せず、逆方向に歩いていくことしばし。

スマホを持つまでは、マジで紙の地図握りしめて旅行し、

全然いきたいところには行けなかったが、行く先々の偶然の出会いを楽しんでいた。

 

東京に来てからというもの、思考が変わったのか、ただの住宅地ですら

歩くのが楽しく、適当な方向に歩いては、路地をのぞき込んだり、

空き家をのぞき込んだり、祠や雑貨屋さんをのぞき込んでは、日がな1日

過ごしてしまう。

一時期、あちこちお墓をめぐるのが好きで、1日で4か所くらい

めぐっていた。 

お墓を風が通り抜けると卒塔婆がぶつかり合って、

パタパタとなる音は九州ではなかなか聞けない音なので、

それが珍しかったのかもしれない。

 

そんなわけで一人で買い物に行くと、あっちふらふらこっちふらふらして

片道1時間以上かけて最寄りのスーパーに行くことがある。

その日もいつも曲がったことがない、曲がり角を曲がってみると、

長屋スタイルで三軒連続して、雑貨屋と文房具屋さんと古着屋さんが

並んだとおりに出た。

 

「おお、こんなところが」

 

www.web-across.com

 

何だか統一感のない品々で、木彫りのクマが置いてあるかと思えば、

落語家の手ぬぐいや、古いジッポがおいてる。

所狭し、という感じはなく、すべての商品が自分の場所に収まっていて、

決して雑多な感じは受けない。

積み木の家のような、店内だなとあちこちうろうろ。

 

「ちょうど、音楽流し終わったんですけど、何か

すきな曲はありますか?」

 

と、人生初の心使い。そんなことしていただけるのね、という

驚きも手伝って、ぱっと出てこなかったが、

スローテンポのピアノメインの曲を、とお願いする。

PCで探すとかではなくて、ぱらぱらとCDをめくって

探してくれる。しばらくすると、ジャズが流れてきて、

聞いたことないけど聞いたことのあるフレーズ。

 

探検をするように決して広くない店内を散策する。

小倉百人一首、木彫りの仮面、着方のわからない古着、

漂着したような品々を見ていて、足元にレコードの山を見つける。

 

多くが知らない洋楽だったが、吉田拓郎やTHE BANDなど、

ちょいちょいわかる名前を見つけては喜ぶ。

 

奥にもあるな、と落語のレコードなんかも見つけて、しげしげと

解説文を読む。2枚、3枚とめくって、ひときわカラフルな、レコードを

見つけた。

 

銀杏BOYS DOOR 1stプレス

 

www.youtube.com

 

おお、と思わず声がでる。

私はそこまで彼らが人生に登場してきてくれたわけではないが

想い人さんの人生にはもはや張り付いているといっても過言ではないだろう。

 

2007年、GOING STEADYの活動休止後に出されたアルバムで、2020年にも

再販?されたのだったか。

 

たぶん。買った方がいいだろう。

この店舗では、独自通貨、こい券でやり取りされている。

もちろん、日本円も使えるとのこと。

よい経済システムだ。

 

「お金をおろしてくるので、待っていてください」

 

と、方向音痴の悲しいところで、同じルートでしか

行って帰ってこれないので、寄り道を含んだ無駄の多いルートを再度、

必要な金額を握って戻ってくる。

 

たぶん、妥当な値段なんだろうという金額を支払い、

あとはSEIYUで、季節の野菜をかごに放り込む。

白菜よ、君はなんて頼もしいんだ。

君がいてくれたから、超えられたよると迎えられた朝は

もはや数えきれないものがある。

いいよね、1玉、120円。 

 

食材でいっぱいになったカバンで、ぺらりといれらたレコードを

押しつぶさぬよう、気を付けつつかえる。

 

思い入れがあるものだから、買わない方がよかったか、

余計なことしちゃったかと、道すがらどきどきし始め。

家につくころには後悔の念が勝っていた。

 

もし持ってたらどうしよう、持ってなくても、さほどいらなかったら

どうしよう。

変なトリガーになったりしないか、と、不安な気持ちのまま、

てしてしとスマホの画面をスクロールする。

いらないといわれたら売らねばならない。

 

正面切って渡して、気を使わせても嫌だ。

床に目立つように置いてみる。

荷物を置くときに嫌でも気が付くだろう。

ぐぬぐぬと思いながら、少し濃いめのクリームシチューを作る。

今日はパンと一緒に食べたい気分である。

 

もうすぐ帰ってくるか、とじりじりしていると、かちゃんと

鍵の開く音。

思わずトイレに駆け込んで、息をひそめてしまう。

いないの?と呼びかけつつ、家に上がる気配を感じ、

そして(相変わらず)一向に気が付かない様子に、おずおずと

トイレから出る。

何してんのという、声を無視して、半笑いのような顔で、

部屋を指さす。

何?なんのこと?と全然気が付かない様子に、あれ、やっぱり

あんまりいらんかったんかな。。。?と不安になったところで、

はあ!?というこえが聞こえる。

 

どこにあったん?と、故郷のイントネーションで尋ねられる。

雑貨屋さんにあった、と、わたわたこたえる。

裏面をみて、本物だ、とつぶやいて、なぜか、うええっとえづく。

 

LPを手にもった姿をかがみに映す。

「鏡に映ってるからほんものってことだよね?」

「手を離した瞬間に無くなったりしない!?」

と、思ったより喜んでくれて、

これもらっていいの?所有していいの?と念押しされる。

 

そのあとは、胸がいっぱいだわ、、、と言いながらご飯食べてた。

 

食い入るように、手書きの歌詞カードを見ていた。

 

寄り道するといいことがあるなあ、とうれしくなった出来事だった。

 

LPを再生してもらえるバーとかあれば持ち込めば流してもらえるのかなあ。

f:id:tsumehaya:20211122210524p:plain