「勝ち負け」ではなく「良いか、より良いか」
お久しぶりです、イナカ子です。
イナカ子はずっとテニス部だった。
ただ「練習ではまあまあ打てるのに試合になるとさっぱり」という、典型的なダメ選手だった。
でもイナカ子は完全なる「非・負けず嫌い」。
試合に負けてトイレにこもっちゃう人とか、勝って嬉し泣きする人とかを見て、真面目な女子高生イナカ子は、「ああなれないのは自分に練習が足りないせいだ」と思っていた。「試合になったら力が発揮できないのはメンタルが弱いからだ」とも思っていた。
というか、体育会系の部活って大体そういう指導だしスポーツなんだから勝たなきゃダメなのは当たり前なんだけど。
さて先日、人生初のダンスレッスンを受けた。
とある日に素敵な路上ダンスパフォーマンスに出会い、その方がダンスレッスンもしているというので参加させてもらったのだ。
先生は日本舞踊を主軸に、バレエも書も絵画もする人で、とにかく肩のあたりから情景がぶわっと湧き出していくようなパフォーマンスをする。
イナカ子はというと、ダンスは全くの初心者。
昔、メキシコ人の元彼にサルサを教えてもらい、
「君センスないなー」
と言わしめた誇り高きダンサーだ。
先生は数種のレッスンを持っているらしいが今回のはちょいと独特。
だってダンスを教えない。
バーを持ってアン・ドゥー・トゥルア〜〜〜的なことをやらない。
「じゃあ、踊ってみよっか」から始まる。
もう、「!!??」状態なのだが、とりあえず踊ってみる。
意外なことに、体は勝手に動いた。
手の動きたい方へ、足の行きたい方へ、体をただ委ねていくだけ。
イナカ子もうアラサーだけど、自分の手足がこんな動きをすることを今更知る。
そして、
だから私はテニスで勝てなかったんだと悟った。
私は「競争」がダメなのだ。
高校時代はそれでも勝とうとして不必要に自信を失って自分を責めていたなあと思う。
負けるたびに「メンタルが弱い」が降り注ぎ、いちいちそれに落ち込んで。
それはテニスだけじゃなく、受験も全部そう。
結果的にメンタルは別に弱くなかった。
私にも目標や意志はちゃんとあって、それに向かって努力もできた。
「競争」でなければいいパフォーマンスができた。
リングには上がると興奮するヤツだけ上がれば良い。
リングの外にも酸素はあると気づけたのは高校を出てから。
大学からはデザインの分野に身を置いて、競争ではない世界を知った。
「勝ち負け」ではなく、「良いか、より良いか」の世界。
今は、「競争競争競争の中で生き抜けたやつがすごい」みたいなのからは離れている。
リングの上にいる人たちからはたまに「そんなんじゃ勝てないよ!」的なお説教を受けることもあるけれど、次の私の課題はそういう人たちの話を間違って聞いてしまわないようにすることだなあ。
というわけで、今日もリングの外から一曲。
こういうところに載せるやつは、実はいくつか弾いた中からまあまあまともなのを選んでいるのでそこはちょっと反則かもしれないが、基本的にはその日指が動くままに日記的に弾いている。
ぜーんぶ自己満。