ツメが伸びるのはやいねん。

都会に住むトカイ子と、田舎に住むイナカ子が、都会砂漠と田舎沼をサバイバルする日記。

ながらへばまたこの頃やしのばれむ

誰かに書く、という形じゃないとうまく言えないような気がして、

先輩、お久しぶりです。暑いですね、お元気ですか。

転職して引っ越ししました、先輩の方も何か動きがありましたでしょうか。

私は、また少しつまらない人間になったような気がして、焦りを隠せません。

 

今日は叔母がなくなりました。もともと、難病だといわれていたので、

それほど大きなショックはなかったのですが。

近しい親戚がなくなることは、これから増えていくのだろうと、

葬儀に集まった面々の、いつの間にか小さく、白くなった顔を見渡して思いました。

私の叔母は、それはそれは私たちをかわいがってくれたようで、

めったに買ってもらえなかったおもちゃをお正月にはたくさん持ってきてくれて、

おじさんはいつも優しくて、おばさんは少し厳しかった。

大学受験の前の日に泊めてもらって(私立の滑り止め おちた)、カツを

あげてくれた。福岡の大学院に進学したときは、一番に声をかけてくれて、

靴を買ってもらって、食事に連れて行ってもらった。

子どものころ、本格的なキャンプに連れていってもらって、三角のパンを焼くやつで

おじさんがトーストを温めてくれた。

大きい車で、実家に来てくれるたびにすごくうれしかった。家にも何度か

遊びに行った。最後に話したのは、何年前だっただろうか、何て思います。

葬儀なんてのは、生きている間に何かをしてあげられなかった人間の罪悪感を

薄めるためにするものだと思っていて、そして一番泣いていいはずの人が

笑っているものだから、涙を流すタイミングを逃して、この時間に至ります。

旅行好きな人で写真をよく撮っていた、と思う。

父の、常に水を扱って荒れ放題だった手は、いつの間にかつるつるに戻って、

毛が生えていて、それは「仕事をしていないから」だとつぶやいて、

母は、写真の中で見たことがなかった、私が生まれたばかりの頃の短い髪にしていて、

後何度、なんど、と思います。

「みんなに看取ってもらえてよかったね、一番最後だから、だれもいない」と

「自分の時は眼鏡をつけていてほしい」と「迷子になるからね」と

父は言いましたので、忘れないように。

本当は一人で、のんびり過ごすことが好きな父は「次は人とかかわらんでいいような

ものがいいな」と、渦中においてきているうしろめたさが可視化できたら、

ギリシャ神話の大空を支える罰を背負った神様とはりあえるくらい、

肩がきたわれていそうだなと思ったりします。

まあ、そんなに真面目じゃないから、結局、普通に明日がきてしまうのですが。

美しい満点の星が浮かぶ、故郷の空は、東京の夜景より見つめ続けるに値すると

どのまちの明かりよりも美しいと、自信を持っていえるのに。

矛盾した自分の態度が、体に反映されていたら、ウエストの細さのギネスにだって

挑戦できそうです。

 

長々愚痴ばかりになってしまいましたが。

愚痴なのかな。

明日からは、あの人がいない世界で、そういう意味では世界は毎日死んでいる。

死んでいく世界の変化に気づいた瞬間に自分もまた死んでいるとは思うんですが、

でも、昨日との違いは伸びた髪ほど実感できないものです。

 

従妹は、きっと今後5年以内に、父親もなくしてしまう未来が決まっていて、

そうなったときに、私が何かできるように、もっと、、、、

もっと。もっと。もっと、なんなんだろう。

 

人に何かしたいという気持ちはあれど、全然、何も間に合っていなくて

こんな文章を書き捨てるのももう何回目かわからなくなりました。

 

最近、飛行機に乗ると、信じられないくらい体調が悪くなり、

体に悪いものを取り入れると、しばらく胃が悪い。

もう、地に足付けた考えしかできなくなってるんだろうか、とか、

毒も一緒に飲み込めなくなってるんだろうか、とか

いらんこと考えて夜目が覚めて(そして朝起きれない)

吸えもしないたばこの煙を空に吐き出して、視界を濁らせるような、

そんな呼吸を続けています。

今も名残で、胃がむかむかしている。でももうねなくちゃ。

 

40人近く集まった親類を見て、枝葉の一部の自分を認識します。

昔の人は迷う暇もないくらい必死に生きていたんだなと、

女で1つで、6人を育てて高校にやった祖母の面影を思う。

もっと話しておけば、と思うけど。ばあちゃんは本当に厳しかったのだ。

誰のストーリーも受け継げぬまま、自分の大げさな苦労話風の日常を振りかざして

生きていくんかな、と思った時、別の戦慄が走る。

 

いかん、寝るんでした。

それじゃあ、先輩、また。いずれこの先で会いましょう。

 

ながらへばまたこの頃やしのばれむ 憂しと見し世ぞ今は恋しき