ツメが伸びるのはやいねん。

都会に住むトカイ子と、田舎に住むイナカ子が、都会砂漠と田舎沼をサバイバルする日記。

3億光年の先で輝く

しつこかった夏が終わり、ようやく、あっさりとした秋がきましたね。

絶妙に木々の緑が深みをまし、夕方には空が茜色に染まる、

この季節が好きです。

どうも、とかいこです。

 

さて、ワクチンの副反応で、腕でも折ったのかという、

麻酔が切れたような逃げ切りがたい痛みを耐え、先週以前から気になっていた、

三鷹にある国立天文台に行ってきた。

日本の研究所と大学が共同で利用する研究機関であり、

ハワイ、長野などに散らばる天文台の本部だ。 

 

最先端機器がいくつもあり、目に見えないあらゆる信号を受け取り続けているこの施設では、

天文学、天台物理学の研究者たちが、その膨大な知識量と、探求心をもって夜空を読み解いている。

 

与えられた問の解き方を教わるのが義務教育だが、

こうした、学問の真髄にいる方々は、解くべき謎をつくることからはじめている。

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国立天文台 三鷹キャンパス

 

かつては、東京都港区、今の麻布近くにあった施設は、近辺の開発で

周囲の街頭が増え、天体観測に適さなくなったことから、現在の三鷹市に移設された。

当時は、田舎に行くのを嫌がった研究者もかなり多かったとのことだが、

関東大震災を機に、移住が進んだという。

三鷹の森の姿を残したこのキャンパスは、静かで、そしてやぶ蚊が多い。

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違う角度からとった写真を見ると、奥にはお隣にある調布市の空港が見えるし、

富士山も見える

次いでに、調布市には航空宇宙センターがあって、三鷹のずっと先の

国分寺市には、ロケットの開発をしていた施設があるから、中央線沿いは、

宇宙に近い場所らしい。

 

まあ、先述の通り、都心からアクセスがいいわりにしっかり田舎で観測しやすい、

というのが大きな理由だと思うけど。

その三鷹市ももはや夜空の観測には向かず。 

東京の本部では主に太陽の観測や、重力波の観測が主になっている。

 

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かつての三鷹の森の姿残し続けるこのキャンパスには、

遺跡と呼んでも差し支えない、ふるい観測設備が残っている。

 

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大正10年に完成した望遠鏡

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昭和5年に完成したアインシュタイン

ドイツにあるアインシュタイン塔と同じ目的でつくられたため、通称「アインシュタイン塔」と呼ばれるこの建物は、この建物の中に望遠鏡があるわけではない。

この施設そのものが大きな望遠鏡だ。

今は、内部の見学はできないが、その歴史的重要性から国指定重要文化財

指定されている。

 

それぞれの設備は、観測者による誤差も多く、熟練の研究者たちによって

あらゆる観測が続けられていたが、その多くが2000年になる前に役目をおえ、

歴史的価値を示すのみとなっている。

現在は、正確にそして精密に情報をキャッチする電子の力が

この施設達が築いた歴史を引き継いでいる。

 

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開けた空間に、まだそれぞれの機器たちだけが受け取れる信号を

変わらずに受け止めている。

受け止めた信号もまた、こちらが真剣に学んでも読み解くどころか、

片鱗をつかむことさえできないだろうけれども。

 

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唯一の意味しか持たないもの、誰かが覚えていなければその意味も価値も

失われてしまうもの。

けれども、廃れることはなく、ただ、何かを証明し続けるもの。 

 

そうしたものが静かにたたずむこの空間に一人、

なんだか世界の終わりってこんな感じなんだろうなと

ぼんやり思いながらシャッターを切る。

 

くるっているのは、あんたなんだってつぶやいて

ぼんやりとが空を眺めまわしては、聞こえないふり、なんてね。

赤みのかかった月は、地平線の近くにある月だから、ちょうど今頃かな。

 

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天文台の中には、宿泊施設がある

観測時間は夜が多いだろうし、長期にわたるだろうから、そのための施設だ。

当然、今は、普通のアパートのような宿泊施設だが、

当時の寄宿舎が今も敷地内に残っている。

二世帯が暮らせるよう、増改築された建物は、

当時の姿を残したまま、今は子ども向けに

絵本があったり、星や森に関する展示品が置かれた

施設となっている。

 

www.city.mitaka.lg.jp

 

子ども達が中庭を駆け回り、

古民家にぎっしり詰められた絵本や

子ども向けにわかりやすくつくられた

宇宙に関する展示品が設置された家の中は

年齢問わず楽しめると思う。

 

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知的好奇心が満たされる、

良き場所でした。

今度は夜にきたい。