ツメが伸びるのはやいねん。

都会に住むトカイ子と、田舎に住むイナカ子が、都会砂漠と田舎沼をサバイバルする日記。

「HOKUSAI」を見てきた

 

映画に対する基礎教養が低いので、暇だなー、映画でもみようかなーと

娯楽の候補に挙がることは少ない。

 

これみたい、と思って見に行った映画はたぶん3本くらい。

 

昔に映画好きの友達とノープランで遊びに行ったとき、

映画でも見るかーと映画館にふらっといき、その場で見たい映画を決めて

チケットを買うという体験をして、映画が趣味、という人はこういうことが

できるんだなーと驚いた。

真似がしてみたくて、以前から一度行ってみたかったミニシアターにふらっといき、

その場で見たい映画を決めてみるということをしてみた。

 

eiga.com

 

この映画もたぶん、ちらっと広告を見て、気になったからだとおもうんだけど。

史上初の黒人警察官が、KKKに白人の警察官と組んで潜入捜査をする、

という映画で、黒人だからという理由で不当な身体検査や取り調べが横行していた

時代(今も変わらないかもしれないが)、黒人の主人公はろくな仕事も

回してもらえず、資料の閲覧もできないなか、仕事をしたくて、

自らひっつかんできた案件がこれだった。

 

これは、ひょっとしたら初一人映画だったかも。

 

そこから映画は一人でみてばっかりだったけど、

今回は想い人さんを誘って行ってみた。

 

人と映画みにいくとか、実に10年ぶりなんだけども。

本当は、日比谷の映画館に行こうとしたんだけど、意外と人気で、

六本木の映画館しか空いてなかった。

楽しみだけど、いやだ、という顔を目いっぱいしている思い人

(六本木が嫌いなんだよね)を横目で眺めつつ、久々の映画館。

2分の1だから、席は一つあけ。しかも前から二列目しかあいてなかった。

 

www.hokusai2020.com

 

全4章の構成で、ダブル主演で進んでいく。

田中泯の演技がめちゃめちゃよかった。舞踊的演技って感じがした。

後半、「北斎ブルー」とされいわれる、塗料との出会いのシーンで

雨の中に駆け出してその青を全身に浴びて踊るシーンがあるが、これは何と

アドリブだったそうで。 

 

 

www.youtube.com

 

何かの形をなぞるような、輪郭をたどっているようなそんな動き。

調べてみると、場踊り、ということもされているそうで、その街をおどる、

ということを表現として取り組んでいらっしゃるのだろうか。

 

後々から調べると、ライブハウスを回っていたこともあったそうで、

想い人さんとの親和性は高そう。意外と、現代美術との相性はそんなに良くない人

(情報量が多いわりに意味がつかみづらいからだと思うけど)なので、

踊り自体は・・?ってなるかもしれないけど。

 

「常に途上であること」

www.youtube.com

 

とにかく、後半の見どころがすごい。

 

後は、玉木宏!いつのまに!

こんな色気のある役者におなりになったの!!!

 

映画自体は、とても、抽象表現が多く、現代アートチックな場面も多い。

割とスローテンポで自分で解釈を補わないといけない場面も多いため、

苦手な人は苦手かも。わかりやすい、サクセスストーリーではないわりに、

セリフ自体、めちゃめちゃ印象的な一言があるわけでもない。

 

ただ、絵を描く、ということ、時代の流れの中にあること、

そういうもろもろから、いろいろと感じる部分があって、しみじみと

振り返りたくなる映画だった。

 

目力というか、本気度、というものの表現が多かったように思う。

今、実際、目に映っている風景の中から、「何を描きたい」と思うのか。

 

波から見える何を、目の前の女性の何を。

 

「なんのために何を描くのか」

 

役者一人ひとりがそれを表現するシーンがよかった。

 

「いい目をしている女」を描くのに、なぜ、かがみを持たせたか。

 顔を描くのに、正面から描くのではなく、後ろからの構図で

のぞき込んでいる鏡に映る表情で描いたのか。

何かを見ている、それが、自分が写る鏡、であることが大事なのか。

 

「かなうならば、この目をとってお見せできればよいのですが」と、

役者の演技ではなく、演技によって見えた情景を示す絵をかくのか。

 

などなど、目が最初から最後まで印象的な場面が多かった。

 

まあ、細かーいことを言えば、花魁にはこんなあっさりあえんだろ、とか、

いきなり床入りはないだろ、とか、

町人にしては、いい着物すぎん?とか、なんでこの身分で帯刀してんの?

とか思うことはあったんだけど、こと「芸術作品」において、

「事実かどうか」は特段大事ではなく、「美しいか」

「人の心をうつか」が大事なのだから、別にいいのかな、と。

 

そういうことにこだわったほうが美しい場合と、

そういうこだわりがノイズになる場合とあるからね。。。

 

楽しかったです。