『台風の夜に寄せて』
懺悔をして、自己を肯定したところで
何になるだろうと、いつだって自分自身のあれやこれを
全部笑い話にしてきた。
笑えない話も無理して笑い話にして、そうやって私が傷つけた人もいる。
本当はなにもかもが怖くて、むき出しの感情や
私を形づくるであろう全てが恐ろしかった。
本音をぶつけられることを恐れた。
曖昧なままにすることで安心をして、何一つ確かに通したい自分なんて
もっていないくて。
笑ってほしいんだ 大げさな奴だって
さげすんでほしいんだ 結局お前なにしたいのって
そうやってちゃんと突き付けられた現実だけが
アルコールが脳みそと建前を溶かした時にだけ語る夢とやらを
素面の状態で引きずりだす。
酔わないと語れない夢なんてごみだって、もうとっくに知ってる。
素面で心臓バクバクさせながら、相手の目も一切見れずに
絞り出すように、でも文章にすらならない単語だけが
多分意味のあるものなんだってそんなこともうずっと前にわかってた。
そうやって震える自分を遠く見ていた。
言い訳は優しくて、できない現実に立ちすくむ私を慰めてくれるけど
その先は何にも保証してくれない。
やらない理由に安堵して、身を犠牲にしてだれかを守ろとしても
すんでのところで手を放して、なかったことにしてしまった。
あのひともあのひともあの子もあの子も!!
あの子も!